【薬剤師が思う】野球でマメがつぶれた時、つぶさないための対処法。
思い出してほしい、マメが破れるあの感覚。
いったん破れると、痛みで続けてスイングできないあの痛さ。
治りがけでスイングすると、ヒビが入って出血してあ”~ってなるあの後悔。
週末の草野球の試合までにある程度治したい!
って方に向けて、何か参考になればと思っています。
ちなみに僕は、小中高校~現在まで野球を続けています。
数々のマメを潰してきている自負があります。
また、現役薬剤師です。
医療の知識を踏まえたお話ができるといいなと思います。
マメの対処法は大きく2つ
①マメを作りにくくする
②マメができたらすぐに対処する
マメ=傷の対処法の基本
日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドラインー1:創傷一般ガイドライン」を参考にしていますhttps://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/wound_guideline.pdf
まず、マメは傷です。
昔は、傷は消毒して、乾燥させて治すが主流でした。
でも、絆創膏やガーゼを交換する時って、ものすごく痛くないですか?
実は、せっかく再生してきた細胞を、はがして傷をつけているんです。
つまり、傷の治りを遅くしていたんです。
現在の考え方は真逆です。
傷は湿潤(しめった)状態を保ち治すことが推奨されています。
ただ、動物の噛みキズなどは例外です。
深部まで至る傷、雑菌の侵入、感染症を起こす可能性が高いので病院に行くべきです。
ここでは、健康な方がスライディングの擦り傷、バッティングで手の皮がむけた程度の傷をさして話しています。
なぜマメがつぶれると痛いのかというと
皮膚の構造を載せてみました。
この現象は、
①スイングの摩擦で、表皮がはがれる
②表皮がはがれ、より深い層(真皮)がむき出しになる。
③同じく痛みを感じる神経がむきだしになり痛みを感じる。
これが痛みの原因です。
遅くなってすみません、ここから対処法です。
対処法①マメを作りにくくする
一番の原因は、「摩擦」だ。
何十、何百とスイングをすればバットと手の間には摩擦が生じる。
対処法は単純、摩擦を減らせばいい。
対策は2点
①可能な限り分厚いバッティンググローブを付けること
②グリップテープも厚めを選ぶ
素手の感覚で握れる薄いバッティンググローブがいいという方もいる。
そういう方は、試合の時だけお気に入りに戻す。
練習では分厚い手袋へ。
どうしてもお気に入り手袋で練習もやりたい。
そんな方は、僕の考えた加工法で手袋強化してみてはどうでしょうか?
以下の記事は自分が行った加工法です。
手打ちだった僕は、コネすぎてすぐに手袋が死んでマメがつぶれてしまっていた。
痛みを感じなければ、もっと練習できたのに・・。
やはり、納得いくまでスイングすることが上達の秘訣だと思う。
対処法②マメができたらすぐに処置する
どれだけ予防しても、できてしまったマメは消すことはできない。
ただ痛みを感じにくくする方法、早く治す方法はある。
まず、マメの種類
1⃣潰れてない水ぶくれ状態のマメ
2⃣潰れて破れているマメ
がある。
潰れてない水ぶくれ状態のマメ
衛生上は、つぶさないほうがいいです。
表皮は雑菌の侵入を防ぐバリア機能があるから。
ただ、練習を続けると大半が破裂します。
そうなると、手袋やバットから雑菌が侵入する。
それだったら、自ら適切に水を抜いたほうがいい。
これが僕の考えです、いろんな方の考え方があるので、それも参考にしてください。
実は、表皮が残っている方が痛まない。
理由は、表皮が残っていれば「痛みを感じる神経がむき出しにならない」から。
【マメの水の抜き方】
①まずはしっかりと患部を石鹸で洗う。
②安全ピンなどの針で先端を火であぶる。
③冷ましたら患部を消毒、最小限の穴をあけ水分を出す。
④患部は絆創膏で汚れが付かないよう保護する。練習を続ける場合さらにテーピング等で補強してください。
ちなみに消毒液ですが、エタノールは粘膜に触れるとしみます。
しみない消毒液(成分:ベンゼドニウム)の方がいいでしょう。
潰れて破れているマメ
破れたマメの皮は除去すべきです。
皮を残した方がいいのは、衛生状態が保たれている場合のみだと考えます。
雑菌が付着したまま皮を放置すると感染の危険性がある。
また、練習を続けて皮がさらにめくれ、正常な表皮も一緒にはがされて傷が広がる場合があります。
それなら、いっそとってしまった方が衛生的です。
正常な表皮をはがさないように、めくれてしまった部分のみ切除します。
熱消毒等した衛生的なハサミでやりましょう。
「湿潤」療法
そして、むき出しになった傷。
一番嫌なのがずっとヒリヒリ痛く、水がしみる、さらにジュクジュク体液で物が汚れることではないでしょうか?
傷の治りを早くし、痛みを抑えヒリヒリ痛まない。
すべてを解決できる対処法がある。
コマーシャルでは「うるおい療法」「モイストヒーリング」などと呼ばれている。
ハイドロコロイドという材料で表面を保護、湿潤させ、傷の治りを早くするのだ。
ガイドラインでは、傷を治すためには「湿潤」がいいと説明した。
湿潤の湿り気はどこから来るかというと、傷から染み出た体液、浸出液とも呼ぶ。
すり傷ができた時、黄色い体液が出てくることは経験したことがあるはず。
この浸出液が、多すぎず、少なすぎず傷の周りを覆っていることが大事。
浸出液の成分は、雑菌から身を守る白血球、細胞の治りを早くする細胞が存在する。
説明が遅くなったが、「ハイドロコロイド」というのは、
①絆創膏のように傷表面を覆い、外からの刺激を防ぐ。
②傷からの浸出液を保ち、多すぎたら吸い取ってくれる効果がある。
有名なのが「キズパワーパット」です。
バンドエイド(絆創膏)のジョンソンエンドジョンソンの商品だ。
医療業界も同じ素材を当然のように使っている。
褥瘡(じょくそう)=床ずれに対して用いることも多い。
ハイドロコロイドを使用する時のよくやってしまう間違いを先に説明
これを使用する前に、消毒液を使用してはいけない。
理由は以下の3つ。
①感染に対しての防御をする細胞の白血球まで殺してしまう事。
②組織を再生する細胞を殺してしまう事。
③消毒液の効果は一時的。皮膚の毛根に逃げた菌がまた増殖してしまう。
ガイドラインでも浅い傷に消毒液は、勧められていない。
水道水で余計な汚れ等の異物を正しく洗浄することで問題ないといわれています。
薬剤師なりに、傷に使えるハイドロコロイドを紹介。
愛用品含め、試したのは全部で7種類(値段は2020年12月25日の時点)
・キズパワーパット(ジョンソンエンドジョンソン)10枚563円
・ケアリーブ治す力(ニチバン)16枚559円
・カットバンリペアパッド10枚596円
・ハイキュアパッド10枚866円
・キズクイックスポットタイプ12枚551円
・ハイドロコロイド厚型16枚860円(マツキヨ)
・キズを早くきれいに治すパッチ(マツキヨ)
無理やりマメを作り、実験いたしました。
是非、参考になさってください。
近々記事上げます。
という事で今回は、
野球好きの薬剤師が、医学的に見てマメをどう対処したらよいかをお伝えいたしました。